「1Gbps の高速プランなのに、なぜか動画が止まる」「結局、自分はどの回線を選べばいいの?」そんな悩みはありませんか?
インターネット回線選びの結論はシンプルです。
あなたが「通信速度(一度に送れるデータの量)」と「レイテンシ(反応の速さ)」のどちらを重視すべきか。
自分が重視するのは通信速度かレイテンシかを見極めることが、失敗しない回線選びの最短ルートです。
なぜなら、いくらプラン上の数字が大きくても、自分の用途に合った要素が欠けていれば「ネットが速い」とは体感できないからです。通信速度が速い回線を契約しても、操作に対応する応答(レイテンシ)が遅ければ、結局はストレスを感じてしまいます。
例えば、家族みんなで高画質な 4K 動画を楽しむなら「通信速度」を重視すべきですが、一瞬の差が勝敗を分けるオンラインゲームや、スムーズなビデオ会議を求めるなら「レイテンシ」の低さを優先すべきです。
本記事では、通信業界に携わってきた筆者が、以下のことを具体的に説明します。
- 通信速度とレイテンシの正しい意味
- あなたの用途(動画・ゲーム・仕事)に必要な速度の具体的な目安
- 光回線が必要か、モバイル回線で十分かを見極めるコスト削減のヒント
専門用語を「配管と水」に例えて図解で解説するので、読み終わる頃にはムダな費用を払わずに、自分に最適な回線を自信を持って選べるようになります。
通信速度は「1 秒間に受け取れる情報量の多さ」

よく見る「Mbps」「Gbps」の意味とは?
通信速度を表すときに使われる「○○Mbps」や「○○Gbps」は、「1 秒間にどれだけの情報量を送信したり受信したりできるか」の単位で、 Mbps(メガビット毎秒)、Gbps(ギガビット毎秒)などです。
- キロ(K)は「1000 倍」
- メガ(M)は「100 万倍(=キロの 1000 倍)」
- ギガ(G)は「10 億倍(=メガの 1000 倍)」
- テラ(T)は「1 兆倍(=ギガの 1000 倍)」
キロは、重さの単位の Kg(キログラム)や長さの単位の Km(キロメートル)などでおなじみですね。
8 ビットで「abc…012…」などの半角文字 1 文字分の情報量になります。
「あいう・・・壱弐参・・・」などの全角文字 1 文字分の情報量は、16 ビット必要です。
「○○Mbps」や「○○Gbps」の値が大きい方が、1 秒間に送ることができる情報量が多くなります。
通信速度では、100Mbps より 1Gbps の方が 1 秒間に 10 倍多くの情報量を受信することができます。
- 10Mbpsでは1秒間に半角文字1万2,500文字分の情報量を受信できる
- 100Mbpsでは1秒間に半角文字12万5千文字分の情報量を受信できる
- 1Gbpsでは1秒間に半角文字125万文字分の情報量を受信できる
上記の値もそうですが、サービス提供側が記載している通信速度はあくまで論理的に計算した通信速度です。実際の通信では、送受信対象のデータ以外にも通信を制御するための情報のやり取りや、エラーやデータ欠落によって再送が発生するなどして論理値ほどの通信速度で対象のデータを送受信できることはありません。
また、ファイルのサイズやスマートフォンやパソコンのメモリやストレージの容量を表す単位としてMB(メガバイト)や GB(ギガバイト)という単位が使われます。
GB(ギガバイト)は10億バイト(半角文字10億文字分)の情報量になります。
同じサイズのファイルを受信する場合にも、通信速度によって受信にかかる時間が変わります。
- 10Mbpsでは1GB(ギガバイト)のファイルの受信に800秒かかる
- 100Mbpsでは1GB(ギガバイト)のファイルの受信に80秒かかる
- 1Gbpsでは1GB(ギガバイト)のファイルの受信に8秒かかる
※いずれも論理値です
重要なのは「下り」の速度
一般的に、インターネット回線を選ぶときに参考にする「通信速度 ○○Mbps」は、下り(インターネットから自分の端末にデータが流れる方向)の速度を指します。
一般的な使われ方では、上り方向に送信される情報量より下り方向に送信される情報量が多くなるためです。
上りの通信で欲しい情報を自分からインターネット側に要求して、下りの通信で要求した情報のデータをインターネット側から自分に向けて次々に受け取るというイメージを持てば、分かりやすいと思います。
一般的な通信速度の意味は、下り方向で自分が 1 秒間に受け取れる情報量の多さと考えておくとよいでしょう。
もう一つの重要要素「レイテンシ(応答速度)」

レイテンシは「返事が来るまでの時間」
レイテンシは、要求を送って返事が来るまでの時間のことです。単位は、ms(ミリ秒)で表されることが多いです。1ms(ミリ秒)は、1000 分の 1 秒を表します。
「通信速度」が情報量なら、「レイテンシ」は応答速度です。要求に対してどれだけ速く返事が返ってくるかという意味では、通信速度よりレイテンシの方が意味が近いと言えます。
オンラインゲームや会議で重要な理由
オンラインゲームやビデオ会議、リモートデスクトップなどでは、レイテンシが低いほど操作や会話のズレが少なくなります。
なぜ「速いプラン」でも遅く感じるのか?

「配管」と「水の流れ」で理解する体感速度
「通信速度」が速い、つまり多くの情報量を送ることができる回線でも、「レイテンシ」が高いと、体感では通信速度が遅いと感じてしまいます。
太い配管の中を、水がちょろちょろと流れているようなイメージです。こういった状態で配管を太く(通信速度の速いプランに変更)しても、体感できる通信速度は変わりません。
回線が混雑すると遅くなる仕組み
逆に、細い配管の中に多くの人が水を流そうとすれば、配管に入りきらない水はあふれてしまい、流せるようになるまで時間がかかることになります。
インターネット回線という配管をどれだけの人が使うかで、体感する速さは大きく変わります。
スマートフォンで昼休みや帰宅の時間帯に通信が遅いと感じたり、人が多い場所で通信が遅いと感じることがあると思います。
いずれもスマートフォンで使用しているインターネット回線という配管に自分の通信を流す隙間が空いていないために起きることです。
ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルという自前で通信設備を持っている通信会社はそれぞれの太さの配管(通信回線)を持っています。
格安 SIM の回線は、通信会社の配管の中に細い配管を通させてもらってサービスを提供しています。
格安 SIM の回線が一般的に遅いと言われるのは、配管が細いために水があふれてしまう状態が発生しやすいからです。
通信の速さを改善するには、より太い配管(インターネット回線)を選ぶか、同じ太さでも同時に使う人が少ない配管(インターネット回線)を選ぶしかありません。
失敗しないインターネット回線の選び方:2 つの基準

ここまで、通信速度とレイテンシについて解説してきました。
自分が使用する回線を選ぶには、2 つを観点として考える必要があります。
- 通信速度 :自分が 1 秒間にどれだけのデータ(情報量)を受け取るか
- レイテンシ:自分がどの程度の応答速度を求めるか
【用途別】快適に使える通信速度の目安
主な用途ごとに、通信速度の最低限の値の目安と快適に感じる値の目安をまとめます。
「最低限の値の目安」は「なんとか動く」「混雑時はカクつくこともある」、「快適に感じる値の目安」は「ピーク時間帯でもストレスを感じにくい」という目安として見てください。
具体的なイメージをつかみやすいように、次の表に用途別の数値を整理しました。
意外と小さい値でも使えるサービスが多いことに気が付くでしょう。
| 用途 | 最低限の値の目安 | 快適に感じる値の目安 |
|---|---|---|
| メール・チャット・LINE | 0.2〜1Mbps | 1〜3Mbps |
| Web サイト閲覧 | 1Mbps | 5〜10Mbps |
| SNS 画像・写真の閲覧・投稿 | 1〜3Mbps | 5〜10Mbps |
| 動画 360p〜480p(SD) | 1〜3Mbps | 5Mbps 前後 |
| 動画 720p(HD) | 3Mbps | 5〜10Mbps |
| 動画 1080p(フルHD) | 5Mbps | 10〜20Mbps |
| 動画 4K | 15Mbps | 25〜30Mbps 以上 |
| ビデオ会議(標準画質) | 1〜2Mbps(上下) | 5〜10Mbps(上下) |
| ビデオ会議(HD・複数人) | 3Mbps 程度(上下) | 10〜30Mbps(上下) |
| オンラインゲーム | 10Mbps | 30Mbps 前後 |
| 1 人でリモートワーク+動画など同時利用 | 10〜20Mbps | 30Mbps 程度 |
| 家族複数人で同時利用 | 50Mbps 程度 | 100〜200Mbps 程度 |
レイテンシに関しては、もちろん速いに越したことはないですが、ミリ秒の単位でどこまで応答速度を求めるか次第だと思います。10ms(0.01 秒)や 20ms(0.02 秒)の応答速度の違いをどこまで気にするかです。
自分の普段の使い方で応答が遅いと感じる場面が少ないのであれば、インターネット回線や機器の見直しは考えなくてもよいでしょう。
しかし、遅いと感じる場面が多いのであれば、レイテンシの低い回線を選ぶ、自宅で使っているルータなどの機器を遅延が少ない製品に交換するなどを検討しましょう。
通信速度・レイテンシのどちらを重視すればよいか
上記の観点を踏まえた上で、通信速度とレイテンシのどちらの観点を重視すればよいか、具体的に挙げていきます。
- 通信速度重視
-
4K 動画を見る
動画やゲームデータなどの大容量のファイルをダウンロードする
複数の作業で同時に同じ回線を利用する - レイテンシ重視
-
オンラインゲーム(FPS など)プレイヤー
Zoom 会議ユーザー
リモートワークで画面操作する
注意しておきたいのは、速度速度やレイテンシは自分が契約している回線の種類だけでなく、ルーターなどの機器や相手サーバーまでの全経路に影響されるということです。
自分のインターネット回線の契約だけ速いものを選んでも限界があります。
太さの異なる配管をつなげても、結局は一番細い配管の太さが全体の速度の限界になるということです。
光回線は本当に必要?

家では光回線を使うのが当たり前、そう思っていませんか?
光回線は速度が速く安定した通信が可能ですが、モバイル回線以外に費用が掛かります。引っ越し直後などには、工事に時間が掛かり使えない期間が発生することもあります。
快適に使える通信速度の目安で解説したように、1Gbps の回線が無くても快適に利用できるサービスがほとんどです。
一人暮らしで SNS・動画だけなら、スマホのテザリングなどで必要な通信ができてしまうことも多いと思います。
家族が 4 人いる場合も、全員が個別の高速モバイル回線(例: 無制限 5G データ)を使い、家電や監視カメラなどの設備用に独立したホームルーターがあれば、光回線の必要性はかなり下がります。
各々が自分の通信を自分が使っている回線の中で自由に使え、共有回線の混雑を避けられます。
光回線のように 1 本で全員をカバーしなくても、総コストが同等か安く済むこともあります。
モバイル回線であれば、外出時も同じ回線を使えるのでシームレスです。
1Gbps の光通信と家族 4 人分それぞれ 250Mbps のモバイル回線を比べると、論理上の利用可能な通信速度は同等です。追加で光回線を契約する必要があるか、改めて考えてみましょう。
モバイル回線だけだと必要なギガ数が多くなって費用が高くなるので光回線を契約しているという人も多いでしょう。
そういう人に向けて、無制限に利用できて費用も安く抑えられる方法を別記事で解説する予定です。楽しみにしていてください。
まとめ:自分の「使い方」をイメージして最適な回線を選ぼう
インターネットネットの回線を選ぶコツは「自分の使い方」をきちんと把握することです。
動画視聴や Web 閲覧などのデータが一方向に流れる用途が多い場合は、通信速度の方が重要です。
ゲームや会議・リモート操作などのリアルタイム性が必要な用途が多い場合は、レイテンシの方が重要です。
自分が「どれくらいのデータ容量を使うか」と「どれくらいの応答速度を求めるか」をイメージしてから、プランや回線を選んでいくのがおすすめです。

